昭和22年(1947年)
JASRAC No.090-0184-1
 夢淡き東京

 作詞:サトウ・ハチロー
 作曲:古関裕而
 歌唱:藤山一郎
 制作:滝野細道

(一)
柳青める日 つばめが銀座に飛ぶ日
君を待つこころ 可愛いガラス窓
かすむは春の青空か あの屋根は
かがやく 聖路加
(せいろか)
はるかに 朝の虹も出た
誰を待つ心 淡き夢の町 東京


 (三)
 君は浅草か あの子*1は神田の育ち
 風に通わすか 願(ねご)うは おなじ夢
 ほのかに胸にうかぶのは あの姿
 夕日に 染めた顔
 あかねの雲を みつめてた
 風に通わすか 淡き夢の町 東京


(二)
橋にもたれつつ 二人は何を語る
川の流れにも 嘆きをすてたまえ
なつかし岸に聞こえ来る あの音(おと)
むかしの 三味線(しゃみ)の音(ね)
遠くに踊る 影ひとつ
川の流れさえ 淡き夢の町 東京


 (四)
 悩み忘れんと 貧しき人は唄い
 せまい露路裏に 夜風はすすり泣く
 小雨が道にそぼ降れば あの灯り
 うるみて なやましく
 あわれはいつか 雨にとけ
 せまい露路裏も 淡き夢の町 東京

懐メロ 童謡・唱歌 八洲秀章&抒情歌  「夢淡き東京」 Photo by Hosomichi
  2009/JUN/15 「細道のMIDI倶楽部」TOPへ 

この「夢淡き東京」は、東宝映画<音楽五人男>(監督:小田基義、出演:高田稔、古川緑波、藤山一郎)の主題歌です。古関裕而は戦争中は戦意高揚の軍歌を沢山作った関係もあり、戦後は反省をして一時謹慎をしていましたが、「雨のオランダ坂」、「長崎の雨」、「長崎の鐘」のいわゆる長崎三部作や「鐘の鳴る丘」などのヒットで完全復活を遂げました。作詞のサトウ・ハチローも同様で、昭和10年の反戦歌を思わせる「もずが枯木で」から戦中のガチガチの翼賛童謡「めんこい仔馬」や翼賛軍歌などを経て、戦後の「リンゴの歌」、「長崎の鐘」で完全復活と遂げ、以後は「小さい秋みつけた」や数々の童謡に特化してゆきました。
*1:あの<娘(こ)>と表記している楽譜があります。こちらの方がピンときます。