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千歳忍の独り言

なんでも解説!

もくじ

1998年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 > 1999年

10月11日・・・・・(コラム)WPCE98、PSINetの戦略など
10月12日・・・・・(解説)カノープスの新製品「DA-port」
10月14日・・・・・(コラム)続PSINet、DVD-Audio、200万画素CDとマルチOS
10月15日・・・・・(コラム)検索ウィザード、ペルチェ、タンデムなど
10月20日・・・・・(コラム)民生R、ヘイズ社、NIFのメーリングリストサービス
10月22日・・・・・(解説)Mercedの詳細、AXIA CD-R
10月23日・・・・・(解説)AMDのK7
10月25日・・・・・(コラム)ATIの戦略、K7、M3、WinChip4情報
10月26日・・・・・(コラム)新SCSI規格、インターネットってつまんない?、OCNの新サービス
10月29日・・・・・(コラム)NetWare5、メガ・メディア構想、Xeon何個?


10月29日
寝坊してしまいました

 会心の作となるかNetWare5

 Novell社は今月よりサーバーOSの新バージョン「NetWare5」を発売開始しました。
 NetWareは古くからあるサーバーOSで、CPUが286の時代では「ローカルディスクよりもネットワークにアクセスしたほうが速い」と称されるほどの高度なディスクアクセス機能とネットワーク管理機能を持っていました。
 国内ではLANの普及が遅かったために、一部の大手企業などを除いては、あまり目立った存在ではありません。NTの台頭と同時に普及し始めたいきさつもあって、NetWareは非常に押され気味でもありました。
 Novellは、起死回生を狙い「総合アプリケーションベンダ」を目指します。ワードパーフェクト社の買収、クワトロなども買収しましたが、結局たいした業績を上げることもできず、これらを売却してしまします(現在は、カナダのコーレル社が保有しています) 同社は、専門分野であるネットワークOSでのみ勝負をかける事を誓ったのです。
 旧来のNetWareは、プロトコルにIPX/SPXというものを用いていました。これは、ルーティングにも対応した非常に高機能なものだと思いますが、最近のInternet事情を考えると少々問題です。また、サーバーとなったマシンは、簡単なコンソールと画面しか表示することはできず、実行できるのは、NTで言うところのサービスぐらいなものでした(常駐プログラム)。慣れない人には非常に扱いにくかったと思います。細かな設定はクライアント側から行うなどの処理が必要でした。もちろん、それが強固なOSを築いていたのでしょう。しかし、そのNLMプログラム(Netware load Module)も作成が難しく扱いにくいものでした(すべてがリング0で動作するため)
 Novellは、NetWare4よりNDSを導入、Internet接続を念頭に置いたものへと変身していきます。
 そして今回のNetWare5では、大きく転身し、「NDSを用いて、複数のNTサーバーを束ねることのできるネットワーク管理サーバー」として生まれ変わろうとしています。NDSはノヴェルディレクトリサービスの略で、NTのドメインがお互いの信頼関係で構成されているのに対し、ディレクトリツリーのように上のものがすべてを管理する集中管理方式です。実際に使ったことがないと分からないと思いますが、NTサーバーが10コぐらいになるともう手がつけられません。NDSならば、これぐらいなんてない数です。
 また、標準プロトコルもTCP/IPへと変更され、サーバー上でJavaVMが動くなど、だいぶ扱いやすいOSになってきたと思います。また、NDSによるDNS(ドメインネームシステム)や、IPアドレスの管理も可能と、NetWareは1ファイルサーバーから、基幹サーバーへと昇華しているようにみえます。
 以前のNTの「競合製品」から「親製品」となるわけですね。NTにはWindows2000から装備されるActiveDirectryというNDS同様のサービスがあります。どこまで食い掛かってくるのか、この2つのネットワークOSの行方が楽しみです。

 NTTの高速通信サービス

 もうすぐ、分割ですね>NTT
 いったい別れたところで何がどうなるのか全然分かりませんが、NTTの内部では結構忙しいようです。
 96年の10月に発表された「メガ・メディア構想」の新たな見通しが発表になっていました。2005年までに月額1万円ほどで10Mbit/cecの帯域サービスを提供する、というもので、それまでにさまざまな段階を踏みながらこの目標に到達しようというものです。
 2002年までに6Mbit/secの片方向(下り)の光ネットワークを10万人規模の都市に設置するという計画が、今回新たに加えられたもので、上りは、従来通り公衆回線やISDN網を用いて行い、下りだけを光ファイバにしようというものです。なぜ、6Mbitなのかというと、これぐらいの帯域があればMPEG2の映像をリアルタイムで配信して、ユーザーが視聴することができるから、なのだそうです。もちろん、その時には、マルチキャストが可能なIPv6が必須ですね。
 また、最終的な10Mbit/secの方も既に実験が始められています。
 行った実験は「GMN-CL」と呼ばれるもので、複数ユーザーが帯域を共有するLAN型のインターネット網です。これは、ユーザーの拡大によりデータ転送能力低下などの問題を解決するための技術として発表された非常に新しい技術です。
 従来のインターネット網と、GMN-CL網にそれぞれ同じ大量のマルチメディアデータなどを流して、その遅延時間などを調べた結果、後者の方が遅延がほとんどなく、優秀だったそうです。
 日本国内は、世界に先駆けて光ファイバネットワークへと突入します。
 独自規格に走るNTTはあまり好きではありませんが、こういった技術挑戦はどんどん進めていって欲しいものです。

 Xeon何個まで?

 シーケントコンピュータ社の新型サーバー機、なんと最大でIntel pentium2 Xeonプロセサを64コ搭載できるのだそうです。
 プロセサはプロセサボードで増設することができて、1枚のボードで4コのXeonが載るのだそうです。また、メインメモリも搭載し、これまた1枚あたり4GBと、大容量。これを16枚まで増設できるというのですから驚きですね。ただでさえ大きなあのプロセサが4コ載る上にメモリが256MBのモジュールでも16枚... あああ、一体どんな大きさのドーターカードなんだぁ 気になって夜も眠れません。
 また、最大64GBのメモリは、64コのCPUすべてで共有して使うそうです。(もちろん、クロスバ-スイッチで制御しているんでしょうが)なんだか、凄すぎて見当がつきませんが、きっと、UO(ウルティマオンライン)のサーバーはこういう機械で動いているのでしょうね。
 最少構成のマシン(Xeon400×4に18GB HDD)でも3000万円(25万ドル)だそうです。もちろん、このクラスになると、別個でHDDタワーか何かが付くでしょうから、あああ、もう、一生もののPCが組み上げられます(笑)<こんなの自作するのか?

 本日のキーワード「Sony 5インチ片面で20GBの光ディスクを試作」


10月26日
メル友募集中です

 次世代SCSI

 いつになったらSCSIはIEEE1394あたりと統合されるのでしょうか。今回も新しいSCSI規格のお話しです。
 カンタムやアダプテックなどが中心となって策定した規格なんですが「Ultra 160/m SCSI」という名称だそうです。もう、一体幾つの規格があるのか分からないぐらいです。その中で、これはかなり覚えにくい規格の一つですね。
 Ultra2SCSI対応のドライブが出始めた矢先ですから、時期尚早な感じもうけますが、いまのハードディスクの速度の伸びを考えると、まあまあ、妥当な時期かもしれません。現在のHDDの転送速度は、16MB/sec(サーバー用)ぐらいです。一般にHA(ホストアダプタ)には複数のHDDがつく事を考えて4倍程度のパフォーマンスが欲しいと言われています。(サーバーではRAIDを組んだりしますから、一般向けPCとはデータの転送量が違います) ですから、現在のUltra2SCSIの80MB/secでも十分に余裕があります。ところが、来年末(99年)では、その速度は24MB/secに、2000年には、35MB/secに達すると予想されており、4倍という速度を考えると150MB/sec程度の帯域を確保する必要があるわけです。
 一般的なPCIバスでは133MB/secという帯域しかありませんから、もう、この時点でサーバー用途専用という状態ですね。
 Ultra160/mSCSIですが、接続できるデバイスは15、総ケーブル長は12mと、Ultra2SCSIと変わっていませんが、従来SCSIが持っていたパリティチェックだけではなく、今回新たにCRCチェックを行うようになりました。転送したデータに誤りがないかをブロック単位でチェックできることになり、信頼性を一層向上あせています。
 また、この速度になると動作がシビアになるためにHAとHDDの間で160MB/secの転送が出来るかのチェックを行う「ドメイン・バリデーション」機能も搭載しています。
 新カードは、2000年を待たずして登場する見込みで、間違いなく64ビットPCI専用の一般には見ることのできないレアなITEMとしてその名をしらしめる事でしょう。

 インターネットは楽しくない?

 95年あたりから始まったインターネットブームもだいぶ落ち着いた様子です。企業などではすっかりインフラの一つになっていますし、千歳個人的に考えてもメールのない生活は考えられません。
 ちょっとした文章を書く時も、昔なら雑誌のスクラップや図書館に行って専門書を読む必要がありましたが、最近では、調べたいものを適当に検索かけるだけで、殆ど出歩く必要がなくなっています。もちろん、この独り言もそうやってインターネットを駆使して(笑)作っているわけですね。
 プロパイダの入退会の推移を見ていると、入ってくる人もまだまだ多いのですが、意外と辞めていく人も多いようなんですね。それはもちろん、乗り換えやら、いろいろ理由もあるでしょうが、話を聞いてみると「面白くない」と言う事らしいのです。
 話に聞いてインターネット初めてみたけれど、なんにも分かんないし面白くない、という話。TVなどに比べて、Webにしろメールにしろ、ある程度ユーザー側が積極的に動かないと反応のないシステムですから、「面白いもの」を見つけるまで「面白くない」のは必然かもしれません。
 現在、いろんな意味でインターネットは転換期ですから、いろんなサイトもポータルがうんぬんじゃなくて、全体の質の向上や扱いやすさなんかをプロパイダとユーザーで考えていかなければならない時期なんと思います。
 私の場合、Webページを開設してから、いろいろな人からメールをいただきました。叱咤あり、質問ありです。そんな中から何人かの人と出あい、いまだにメールのやり取りのある人もいます。そんな人と人の出会いが発生するのってインターネットだけじゃないでしょうか。TVや電話でそんなことがある確率って、非常に低いですよね。そりゃ、間違いメールから始まる恋だってあるんですから、間違い電話から恋愛したってかまわないと思いますが、やっぱり現実的じゃない。
 CHATをやったことある人なら分かると思いますが、あれ程見ず知らずの人とリアルタイムで平気で話せる場所ってないような気がします。あ、でも、口下手な人がいるように、キーボード下手な人もいるんでしょうね。
 家電にインターネット端末が組み込まれている時代です。じきに電化製品は全部ネットワークに接続されて、コンソールから制御できる時代とかも来るのでしょうね。外から家の風呂が沸いたり、VTRの予約が出来たり、そんなのが当たり前になるのでしょう。
 知り合いに「インターネットって何?」と聞かれて、ふと、こんなことを考えてしまいました。私の答え? それは「生活必需品」ですね。

 OCNのサービス拡大

 NTTが提供するOCNに新サービスが追加されるそうです。
 1つ目は、OCNに対して専用線接続が出来るようになったこと。2つ目は、ダイアルアップに新メニューの追加。3つ目は、オリジナルドメイン名によるメールサービスです。
 1つ目は、OCNエコノミーやスタンダードなどの常設タイプで、同じ区域の交換局に収容ルーターがない場合、OCNのサービスが受けられなかったのですが、その局までデジタルアクセスという専用線を利用する事が可能になったということです。よくわからないと思いますが、まあ、サービス区域を広げる作戦だと思っていただければOkです。
 2つ目は、ダイアルアップユーザー用で、月50時間までを4800円で利用できる「ロング」というものです。改めて説明するほどのものじゃないですね。でもやっぱり、この金額は少し高いような気がします。
 3つ目が目玉。OCNエコノミーの付加サービスなんですが、NTT側にDNSサーバーとメールサーバを設置している場合、オリジナルのドメイン名を使ったメールアドレスを利用できるんです。ユーザー名@会社名.co.jpなどというようなヤツですね。なんだかかっこいいです。ときどき「mail@名前.com」というようなアドレスの人とかに出会うと、すっげー使い込んでいるなぁと感心しちゃいます。
 千歳もアメリカのレンタルサーバか何かを借りて、オリジナルのドメインで始めようかなぁなんて、心にもない事を思ったりして(笑)

 本日のキーワード 「MSの新グラフィック機構GDI2kの正式名称はGDI+に決定」


10月25日
きれいな秋晴れでした

 生き残りをかける3D業界

 3Dグラフィックス分野でトップシェアを築いたカナダのATIテクノロジース。激動のこの業界でさらなる有意を保つために動きだしました。
 今回買収したのはアメリカのクロマティック社。あまりピンとこないかもしれませんが、メディアプロセッサMpactを設計開発していた会社といえばおわかりになるでしょう。国内ではプロサイドなどが扱っていました。Mpactは、高速でプログラミング可能なDSPです。2D/3Dのグラフィック、モデムやサウンドの機能、DVDの再生までこなすパワフルなチップです。プログラム可能ということで差別化を図り、ハードを変更することなく新しい機能の追加や高速化が可能でした。しかし、その開発が非常に負担であったらしく、あまり採用するベンダは多くなかったようです。クロマティック社は夏には従業員の半分を回顧するなどの措置を取ったものの、苦戦を強いられていました。
 ATIは、メーカー製のPCに組み込むビデオチップが主力で、DIY市場などでは、ミッドレンジ~エントリークラスを主力としています。何故ATIはクロマティック社を買収しなければならなかったのでしょうか。
 1つは、3Dグラフィックスに参入しているメーカーが多い事です。現在、40社以上あるといわれ、ほぼ飽和状態となっています。その中で技術力のある集団が大きなメーカーに吸収されていくことは往々にしてあることです。
 もう1つは、Intelが3Dグラフィックスを統合したチップセットの発売を予定している事。同社のi740クラスのグラフィックスチップがシステムに組み込まれたら、多くのメーカーが大打撃をうけます。生き残るためには、ハイエンド市場を目指すか、関連品目を作るしかありません。
 そこで必要だったのがクロマティック社の技術だったのです。未知数のシステムオンチップ分野で収益を上げるためにも、Mpactのノウハウが必要だったのです。500ドルクラスのPCなどには、CPUにグラフィックス機能を統合させてしまったり、セットトップボックスや電子手帳といった分野での市場にも食い込みたいという意欲を見ることができます。
 激変が予想されるこの業界。一体どれだけのメーカーが生き残れるのでしょうか。

 K7の詳細

 連日お伝えしているAMDの新プロセッサK7ですが、これについての情報が入ってきたので、またまたお伝えしたいと思います。
 L1キャッシュは、大容量の128kBです。命令用に64kB、データ用に64kBと、従来のペンティアムやK6と同様にセパレートタイプのキャッシュを採用しています。しかし、L1キャッシュで128kBというのは異例ですね。セレロンのL2キャッシュと変わらない量です。L2はお伝えしたとおり512kBから8MBまで。プロセッサとの速度は1/nになるかはまだ発表になっていません。(注・11/3最高2/3同期までサポートするようです。500MHzのK7は333MHzでL2キャッシュが動作すると言う事ですね)
 マルチプロセッサ機能ですが、理論上の構成数に制限はないようです。ペンティアムPro/2で採用されている共有バス方式ではなく、プロセサとチップセットを1対1でつなぐクロスバー・スイッチ方式を採用している事から見ても、大規模システムに向くのではないかと思います。
 メモリはECCにも対応するそうです。
 また、AMDは今後出荷するチップセットではD-RDRAMのサポートを発表しました。既に試作品は完成しており、1端子あたり800Mビット/sec(=1.6GB/sec??)という転送速度の実験を行っているそうです。

 その他のプロセサ

 ナショナルセミコンダクタは新プロセッサ「M3」を発表しました。あれ、CPUはまだサイリックスの名前でいいんだっけ?
 このM3は、L2キャッシュや、グラフィックスチップをも統合したもので、どちらかというとMediaGXの後継になるCPUです。ですから、現在のM2などからCPUを差し替えるというようなことはできないでしょう。
 基本的には、600MHz以上で駆動するJalapenoプロセサコアを中心に、256kBのL2キャッシュ、3Dを含むグラフィックス、DRAMコントローラを1パッケージ化しています。
 ナショナルセミコンダクタは、1000ドルPCの火つけ役として、PC向けのシステムオンチップに力を入れています。DIY市場にはあまり影響はないと思いますが、古くからのx86互換ベンダとして行く末を見守りたい気分です。

 IDTは新チップWinChip4を発表しました。
 このメーカーの売りは安さ。そして旧マザーボードとの互換性。3.3Vまたは3.45V単一電源で動作可能なCPUは今やIDTぐらいしかありあせん。古いペンティアムからの置き換えを狙ってきたIDTですが、このWinChip4からは一気に速度を向上させてきます。L1キャッシュは128kB。L2キャッシュはCPU内部には持たせないそうです。1999年の下半期には500MHzに達する予定で、その時の電圧は2.5Vとのこと。2000年には700MHzまで引き上げて、電圧は1.8Vとか。
 もともと速度でアドバンテージのあるCPUではないですから、互換性を捨てて、どこまで市場に食い込んでいけるか見物です。

 そういえば、Gateway2000から個人向けWindows98プリインストールのPentium2 Xeon搭載機が出たようです。
 世の中物好きが多いというか、なんというか、そんなもの個人レベルで使用しても殆ど体感できるような差は存在しないはずなのに買っちゃう人っているんでしょうね。(サーバーとして利用するなら差が出そうな気もしますが)
 いや、なに、本当はうらやましいだけです。きっと<私。

 本日のキーワード 「ドリームキャストの予約中止! 予想外の数にセガ大あわて」


10月23日
すっかり寒くなりましたね

 AMDの話

 低価格路線で一定のシェアを得たAMDですが、その牽引役となったのがK6プロセサ、K6-2プロセサです。特に1000ドル以下のPCではかなりのシェアを獲得しており、最近ではノート市場でも採用例が増えています。
 一時は大苦戦を強いられていましたが、この程の決算では久々の黒字を提示し、先行き感も明るくなってきました。
 今後、AMDはどこへ向かうのでしょうか。
 K6-2で3DNow!命令セットを追加することにより、浮動小数点演算をMMX的に扱うことを可能にしました。これは、Intelのペンティアム2の時期版Katmaiで実装されるMMX2に対して丸々1年ほどのアドバンテージを持つことになります。
 時期Sharptooth(旧K6-3の事。この仮称は現在では撤回されています)では、2次キャッシュをダイ内部に統合し、CPUのコアと同期する速度でL2キャッシュを駆動します。これにより、ペンティアム2より不利といわれてきたキャッシュ速度の問題が一気に解消することでしょう。実際には、ペンティアムProや2などのP6バスに比べて、L2キャッシュアクセス時に同時にメインメモリをリードしたりできるかは不明ですが、この程度で顕著な性能差が浮き彫りになることはないでしょう。
 このSharptoothがAMDのSoket7最終形となる模様です。

 本命はK7

 1999年の上半期にはK7が登場してくる予定です。(注・11/3 K7はどうも遅れているようですね。99年後半と言う説がもっぱらのようです)
 このK7はK5をデザインしたチームが当たっているといわれ、その洗練されたテクニックは定評があります。(K6は旧NexGenのチームが当たったとされています)
 では、K7はK6とどこが違うのかを見ていきましょう。
 x86命令をRISC風の命令に変換するのはK6と同様です。ペンティアムPro以降もそうですね。違うのはM2などのサイリックス系、IDTのWinChip系ぐらいでしょうか。また、高度なスーパースケーラを使用するのもK6と同様です。異なるのは、その並列度です。K6では4つの命令デコーダを持っていましたが、さまざまな制限があり、同時に解析できるのは2命令ほどでした。K7ではデコーダの数こそ3つと減ったものの、すべてが制限なく利用できるため、結果としておよそ1.5倍の性能を確保していることになります。
 演算器も増えています。K6では整数演算部、浮動小数点部とそれぞれ2個でしたが、K7ではそれぞれ3個となっており、ここでも1.5倍の性能を確保しています。それに、整数演算と浮動小数点演算を切り替えずに使用することができるため、そういったオーバーヘッドもなくすことができ、3D処理などでは顕著にその差が出る可能性があります。また、それらをスケジュールする部分(スケジューラー)もK6が同時に発行する命令が6つだったのに対して、K7では9つになっています。
 out-of-order機構(命令を実行できる順にどんどんやってしまう機能)もK6では24命令までしか保持できなかったのに対して、K7では144命令までと枠が広がりました。また、コアの実行効率をあげるために、命令のロード/ストア機構や予測分岐機構を演算器から独立させています。
 ちょっと難しかったですが、K7はK6の反省点を踏まえて、より確実に同時に多くの命令を発行できるように進化しています。同一周波数でも1.5倍以上の性能を確保できるのではないでしょうか? そして、Intelに遅れをとっていた駆動周波数の分野でも、このK7で一気に追いつこうとしています。AMDでは2000年中にK7で1GHzに到達すると語っていました(それが可能かどうかは知りませんが)

 まだまだあるアドバンテージ

 K7はペンティアムPro/2互換ではないバスプロトコルを使用します。CPUの形状はSlot1と同等のものとなるようですが、実際には旧DECのAlphaバスを使用するそうです。これは、新型のAlpha21264(EV6)と互換性のあるバスで、その周波数は200MHzです。Intelが100から133MHzへ上げようとしているのとは訳が違います。一気に倍の桁へ上がろうとしています。しかし、実際には100MHzの両エッジを用いることによって200MHzを実現しようとするようです。
 CPUはペンティアム2と同様にL2キャッシュをコアに統合せず、カートリッジの中に封入するようです。その方が価格的に安いのと、大容量にしやすいからです。もちろん、動作はCPUの1/nとなるようです。AMDは512kBから8MBまで搭載可能といっており、確かにこの量ではコアに統合は出来ないな、と納得してしまいます。
 ただし、Xeonのように高価だがL2キャッシュの速度を同期させたバージョンのことも示唆しており、同社のサーバー向け戦略を垣間見た気がしました。これは、K7がマルチプロセサ対応なのを見ても分かります。x86互換ベンダで初めての事です。Intelは以前からマルチプロセサ対応のCPUでしたが(一部対応していないロットもあるそうです)互換品は、安くてそこそこ、本家が製造終了したもののの高速版というイメージがありました。AMDはそれから脱却し、一気にハイエンドメーカーへと転身しようとしています。

 果たして

 チップセットは、AMDからリリースされ、その後サードパーティへとライセンスされるようです。
 いくら優れたCPUでも、業界がサポートしてくれなくては絶対に成功はしません。AMDにとっての問題は、K7を受け入れる事のできるインフラをどれだけ早く整備できるか、でしょう。CPUを買ってもマザーボードがなかったり、プアなものしかなければ、興醒めもいいところです。
 ただし、話に聞くところによると、K7は意外と歓迎されているようです。チップセットベンダやマザーボードベンダでは、サポートの強化などをうたっており、心強い限りです。これも、K6プロセサが売れ、そういったベンダに利潤をもたらしたことが要因でしょう。Intelに対するアンチテーゼなのかもしれません。

 本日のキーワード 「K7は500MHzkらスタート。発売は1999年上半期」


10月22日
レッズ負けちゃいました

 Mercedの詳細を発表

 Intelから次世代CPU Mercedの詳細が公開されました。
 MercedはPentium Pro(2)系列とは異なり、64ビットプロセサです。Pentiumが普及し、Pentium Proが登場したときは、前者が一般向けPC用、後者がハイエンドPC&サーバー用途と明確な住み分けが掲示されていました。今回も同様に、Mercedおよびその後継機ががハイエンド&サーバー市場、Pentium2および、その亜種がPC向けとなるようです。
 MercedはPentium2のようなカートリッジタイプになるそうです。これは以前からSlot Mと呼称されていました。ピンアサインなどは変わるはずですので、従来のSlot1/2と互換性はないでしょう。ダイサイズそのものは現行のPentium2よりも小さいそうです。これは、新世代の微細プロセスが影響しているのでしょう。スタート時から0.18ミクロンプロセスですね。
 それから、キャッシュの構造が変わるそうです。従来L1、L2キャッシュという形でCPU内部、または外部に設置されていたキャッシュメモリを利用していました。Mercedでは、3段階キャッシュ構造というものに切り替わり、L0キャッシュ、L1キャッシュ、L2キャッシュというものがCPUカートリッジの中に納められるようです。この新設されたL0キャッシュが何者かはIntelはコメントしていません。非常に気になります。旧DECのL3キャッシュ構造と何が違うのでしょうか? これも、分かり次第この場で述べていきたいと思います。
 Mercedでは浮動小数点エンジンが大幅に強化されるようです。Soket7系CPUも、以前に比べるとだいぶマシになってきましたが、それでもPentiumPro(2)には遠く及びません。そんなpentiumPro(2)でも、一般にRISC系と呼ばれるCPUに比べると、まだ桁一つほど遅いのが現状です。Mercedではこのエンジンを完全に書き換え、PentiumProのおよそ20倍、今後発売される500MHzクラスのPentium2(コード名:タナー)と比べても3倍以上の性能を発揮すると言われています。
 Intelはまだ細かい部分について多くは語りたくない状況なのだと思います。しかし、新しい64ビットプロセサを牽引していく上でも重要な事だと思います。
 Mercedは現在テストチップが完成し、Merced用のOSでさまざまなテストを行っている最中だと聞きます。順当に遅れている出荷ですが、このままで行くと、アナウンス通り2000年の中ごろにはお目見えするかもしれませんね。
 また、次世代MercedベースのCPU「McKinley」も示唆しており、駆動周波数は1GHzからとなるようです。このCPUは2001年中にも出荷される見通しで、Intelの64ビットCPUはこちらが本命かと言う人も多いようです。そして、廉価版Merced「Deerfield」も開発中ということで、一般のPCユーザーにはこれが本命なのかもしれません。
 これら新しいCPUは、今までのCPUと異なり、その実行速度をコンパイラに依存する傾向があります。Intelは優れたコンパイラコンパイラ(コンパイラを作るコンパイラ)のメーカーだと思いますが、HPと共同で行ってもまだ十分なパフォーマンスを得ていないとされています。Mercedの真価が発揮されるのは、これら開発環境まで含めた土台が出来上がってからでしょう。
 一方で、デスクトップ/ノートベースに32ビットCPUも進化を続けるそうです。来年には新MMX命令を搭載したKatmaiがお目見えしてくるでしょう。
 ここ数年は、Intelから目が離せない年になりそうです。

 AXIAブランドのCD-R

 先日お伝えしたとおり、「著作権法施行令」の改定にあわせて、民生用のCDレコーダがにわかに活気づいています。
 それを証明するかのように、富士写真フィルムは、フィリップス、パイオニアなどのCDレコーダ対応のCD-R、CD-RWを11月より発売するそうです。名称は、「AXIA CD-R for AUDIO」です。AXIAの名前を出すあたり、やはり「音楽」を意識しているなぁと、変に感心してしまいました。考えてみれば当たりまえなのでしょうが。
 値段は、定価ベースでRが700円、RWが2800円と結構なもの。著作権使用料が含まれているため、PCベースのメディアにはかなわないものの、もう少し安くしないと普及もナニもあったものじゃないですね。もっとも、こういった商品の定価なんて当てにならないですから、実際に店頭に並んだ金額をチェックしてみるしかないですね。
 今回の発表では、色素などの情報、自社生産かOEMかも分かりませんので、見つけ次第、千歳も1枚購入してみたいと思います。
 果たして、一般のCD-Rよりもいい音で録音できるのでしょうか? 注目はそれに尽きます。しかし、一般のPC用CD-Rにはマウント出来ないなんて言うオチはつけて欲しくないですね。
 まあ、私が人柱になればすむ話ですか(しくしく)

 基幹コンピュータの値段

 旧DECの基幹業務用サーバーの新モデルをコンパックがリリースするそうです。「AlphaServer」の名称はそのままに引き継がれるそうで、Alphaファンにはたまらないのではないでしょうか。
 この最上位機種「AlphaServer8000」の14CPUモデルはなんと、6193万円からだそうです。「から」ですよ、オプション品次第で、いくらになるやら、見当もつきません。128MBのメモリが50万円ぐらいしたりする世界ですから、(汎用機では、同量で1億円ぐらいする時期もありましたが)、もう、普通の金銭感覚じゃないです。はい。
 廉価版の6CPUバージョンが3000万円だそうです。
 ちなみにCPUは新型EV6「21264」525MHzを搭載しているそうです。

 本日のキーワード 「IBMのThinkPad iシリーズにVoice ATOKを標準搭載」


10月20日
明日はレッズ戦を見に国立です

 続々と発表される民生用CD-R

 フィリップス社が発売したCDレコーダの発売からおよそ5ヶ月。ついに国内メーカーからも民生用CD-Rが発売される運びとなりました。
 メーカーはパイオニア。今回踏み切ったのは、文化庁が「著作権法施行令」を改定して、新たにCDレコーダーを「私的録音録画保証金に関わる特定機器、および、特定媒体」として盛り込み11月より施行できる見通しが立ったためです。
 パイオニアも海外では既に販売実績があり、国内投入が遅れていたのは、単純に法整備を懸念してのことだと思います。今回、パイオニアが投入することにより、その他のメーカーも続々と参入してくるのではないかと考えられます。
 ちなみに、この法律は、デジタルコピーに関するもので既にDATやMDなどが適用の対象とされており、これらのメディアなどには一定の補償金が含まれています。著作権利用料を一々支払うのではなく、メディアに「これぐらい」という感じで含ませているわけですね。
 CD-Rもその対象に含まれるということで、一時期各地の電気街ではCD-Rの買い込み運動が起こりました。また、お店に対する質問もかなりの数に上ったようです。誤解してほしくないのですが、PC向けのCD-Rは今回の補償金の対象とはなりません。あくまで対象となるのは、民使用CDーレコーダに使用できる専用のCD-Rメディアだけです。安心してください、みなさん。
 しかし、CD to CD-Rで音質は保てるのでしょうか? 私は疑問でなりません。CDはデジタルメディアだろう、と考えるかと思います。確かにそのとおりなんですが、CDの読み取りや、書き込みは、殆どアナログデバイスのような状態です。特にエラーチェックなどを殆ど行わない音楽CDなどでは、なおさら顕著です。CD-Rのメディアの反射率なども一般のCDと比べようもなく低いのも事実です。
 これは、千歳のメディア実験で行った結果、私自身が確認したことですが、「コピー元となる音楽CDの読み取り速度によって音が違う」「書き込む際のCD-Rドライブの速度によっても音が違う」のです。前者後者共に速くなるほど音は劣化していきます。おそらくミニコンポや、ラジカセクラスのプレイヤー、アンプ、スピーカーでは分からないような差なのでしょうが、それは確実に存在します。
 音楽CD-Rをお持ちのみなさま、ぜひオーディオショールームに行って、本物のCDとCD-Rの違いを聞き比べてみてください。面白い事実を発見できますから。

 そういえば、フィリップスはCDプレイヤーとCD-レコーダを搭載したデッキを発売するようですね。1台で録音再生可能なんで、便利といえば便利ですね。また、倍速ダビング機能も備えているそうです。

 一般のCD-Rメディアには録音できないようなのですが、逆に、オーディオCDレコーダ専用のCD-Rメディアに、PC用のCD-Rって利用できるのでしょうか? もしそれで音質が向上するなら、チョットぐらい高くても買っちゃうんだけどなぁ

 古の巨人

 アメリカのHayes社が会社更生法を適用を申請するそうです。
 最近じゃこの会社ナニ?って感じの方も多いかもしれませんが、モデム制御のATコマンドはこのメーカーが開発してデファクトスタンダードになったものです。Windows主体で通信を行うときは、T(テレフォニ)APIが整備されているせいか、殆ど使用することもなくなりましたね。それでも、個別の設定をしたり、TAPIが不安定な場合などは、よくモデムを直接制御します。
 よくお世話になったメーカーが小さくなってしまうのは、なんだか寂しいかぎりです。

 ニフティでも開始

 ニフティサーブでもメーリングリストサービスを受けることができるようになりました。サービスか開始は14日ということだったので、このWebページが更新されている頃には利用されている方もいるかもしれませんね。
 サービス品目が別れており、Aコースは最大300アドレスで、月額500円。Bコースは1000アドレスで月額1000円とのこと。どちらにしても、開設時に1件あたり1000円必要なのが、高いような気がしますが、まあ、手軽さを考えればこんなものでしょうか。
 個人的には、IP接続できるパソコン通信ホストの方に、まだまだ勝てないような気がするのですが、それは、やはり経験から来る慣れなんでしょうね。
 そういえば、パソコン通信とインターネットの違いをよく聞かれますが、IP接続になってくるとますます説明しにくくなりますね。

 本日の独り言 「カップめんの容器が紙製になってきたのは、やっぱり...」


10月15日
台風10号が

 検索エンジン「フレッシュアイ」に新機能

 東芝の提供する検索サービス「フレッシュアイ」はご存じですよね。え? 知らない?12~24時間以内に更新されたページですら検索できるサービスです。千歳のNetでGOGO!のTOPページの下の方を見てみましょう。(ちなみに、東芝のまわし者じゃないです<千歳)
 このフレッシュアイが始めた新しいサービスが「検索ウィザード」 これは、今まで入力が面倒だった複数の検索項目をいかに簡単にできるか、というものです。たとえば、「千歳 と 忍 を含むページで かつ 市(千歳市)は含まない」ページを検索、なんてすぐに論理式を記述できますか? AND だったり ORだったり、スペースがあいてたり、|(パイプ)だったりと、もう、サイトによっても違いますし、これにNOT演算子が入ってくると、もう、しおしおです。
 フレッシュアイならば、それ用のフォームが用意されていて、要る要らないを埋めていくだけ。論理式なんて知らなくても、日本語の説明通りに記入すればすんなり作成で来てしまうという優れものです。また、よく使う検索式は自分のブラウザに記憶させておくことができ、何度でも利用することができます。これは、Cookieの機能を利用しています。
 興味のあることや、よく調べる内容などを登録しておけば、らくちんですよね。他の検索サイトと違い、日刊更新のフレッシュアイですから、どんどん新しい情報が仕入れられて、「んー。満足ぢゃ」という気分かな?
 だまされたつもりで、一回ジャンプしてみると面白いかもしれませんね。

 生き延びるアルファ

 タンデムコンピュータ。一般の方々にはコンパックに買収された事が一番有名な事件かもしれません。ブラックマンデーと呼ばれたその日、ニューヨークの証券取引所には売り注文が殺到し、多くのHOSTコンピュータのキャパシティを越えダウンを余儀なくさせたという事件がありました。その中で、生き残ったのがタンデム製のコンピュータでした。タンデムとは、「縦に並んだ」とか「一直線の」という意味で、単車に2人乗りするのをタンデムと言うのと同じ意味です。スケーラビリティに優れたこのコンピューターは大きな高負荷に耐えぬき、世界的な信用を得ました。
 最近では銀行業務や、カードの信用照会などに必ず利用されており、絶対停止を許されない基幹業務を支える大きな柱となっています。(タンデムはノンストップコンピューターと呼んでいます)
 そんなタンデムの機種はMIPS製のCPUを用いていましたが、このMIPSもプレステやNintendo64などのコンシューマ機器には強いものの、PC市場ではほぼシェアを失い、先行き感が不透明でした。そこで、最強を誇るDEC(現コンパック)のAlphaが採用される運びとなったのです。新型EV6(21264)ではなく、その次世代EV7(21364?)を待ってから、現在のタンデム機「Himalaya」シリーズに採用していくとしました。当初はIntelの64ビットCPU Mercedを採用する予定だったそうですが、やはり最強はAlphaという鶴の一声があったのかもしれません。
 我々が普段呼び分ける「PC」「サーバ」「UNIX」「HOST」「スパコン」そういったものにあてはまらないコンピュータ。それが「タンデム」なのです。
 それにしても旧タンデム社は山の名前が好きらしく、代々そういった名前がつけられています。コンピュータらしくなくて、面白いですね。OSはUNIXと汎用機系のMVSなどが混ざり合ったようなモノが動いています(^^;) 故に、タンデムというジャンルの商品が出来上がっているのでしょうね。

 新型ペルチェ素子

 先日ヤマハから発表があったのが自作系PCユーザーには馴染みの深いペルチェ素子。従来の製品から比べて、熱電変換指標で30%も上まわる凄いものです。これは、同じ冷却を行った場合であれば、20%以上も消費電力を押さえることができ、同一条件では摂氏で10度ほど低くできるのだそうです。
 ヤマハの発表を見ると、冷蔵庫や半導体レーザーの冷却器への応用を見込む、とあり、CPUクーラーとか、チップセットクーラーとか、そういったことは一言も書かれていないのです。なんと由々しき事でしょう。
 ペルチェを用いた冷蔵庫(車載のモノなんかありますよね)では、60リットルほどの製氷機能のないものしか作れなかったのが、100リットルで、氷も作れるものも実現できるとまじまじと書いており、フロンが不要、騒音や振動がないなどとメリットが特徴が並べられておリます。
 まあ、このページで冷蔵庫の話をしてもしかたがないのですが、なんだか、PCの部品も頑張れば冷蔵庫になれるんだなぁと思うと、少し感慨深い気持ちになりますね(笑)
 ペルチェというのは「温度を下げる」ものではなく、「温度差を発生させる」ものです。電圧をかけると、ある方面に熱が移動し、結果としてその反対側の面が冷えるというわけです。ですから、熱い面を効率良く冷やしていかないと熱が移動しきれなくなり、冷却能力が落ちます。また、法則に従い、冷えた温度と暖まった温度は等価ではなく、電気を消費した分だけ熱量が上まわります。
 ですから、ペルチェの上に巨大なヒートシンクを立て、クーラーで冷却するわけですね。ときどき、水冷にしている人とかいますけど、最近は、炭酸ガス冷却のほうがポピュラーでしょうか。
 コンピュータ素子の中でCMOSは温度が下がるとそれだけ高速に動作するという特徴があります(電圧が上がっても同様に速度が上がります) ですから、みなさん、CPUを冷やし、微妙に電圧を上げてあげたりするわけですね。ところが、ペンティアムに代表されるCPUの多くは、一部に高速な素子バイボーラが使用されており、これが曲者です。これは、ある程度の温度じゃないと高速動作しないのです。ですから、冷却していったときの周波数の伸びなどは、比例線ではなくなります。
 オーバークロッカーの見る夢は、果たして暑いのか寒いのか。興味がわく思いです。

 本日のキーワード 「AMD黒字転換。やはりK6-2プロセサが牽引」


10月14日
夕方から冷たい雨が降り出しました

 日本一のISPへ

 アメリカ最大のインターネットサービスプロパイダ(ISP)であるPSINetの事は連日お伝えしているとおりですが、ここにきて、日本国内での展望が見えてきました。
 日本法人「ピーエスアイネット」の社長は、今年中に第一種通信事業者の認可を郵政省に先制すると会見したのです。通信事業者には、簡単に言うと「第一種」「特別第二種」「第二種」があり、第一種は、自社で回線を保有しサービスを提供する企業とされております。NTTやKDDなどが有名ですね。第二種は、自前では通信経路を保有せず、第一種通信事業者から借り受ける形でサービスを提供します。プロパイダや、電話を使ったサービスなどはここに該当します。特別第二種は、第二種よりも規模が大きいため特別とされています。保有回線数が1000本ぐらいは必要だったと思います(もっと必要かもしれません) 現在日本に「特別第二種通信事業者」は60社ないと思いました。
 PSINetはアメリカやヨーロッパでは既に第一種事業社として活動しており、日本でも同様に展開したい考え。目指すところは、日本最大の法人ユーザーを持つISPだからです。
 同社は、法人に限って言えば、既に国内第2位のユーザー数を誇るまでに至っており、あながち冗談とも思えません。もっとも、その多くは東京インターネットから引き継いだものなのですが、それでも8000ユーザーというのはすごいものです。
 NTTはOCNで既に1万5000ユーザーに達しており、そのさはまだ倍ほどもあります。PSINetは自社回線で低コスト、高品質の回線を用意し、低料金のサービスを提供していきたいという考えだそうです。
 これにより価格競争が激化し、NTTや、NCC3社(DDIやTELECOM、TELWAY)の提供する常設サービスに大きな波が来るのも時間の問題です。xDSLとの絡みもあり、家庭向けとの価格の調整は難航しそうですが、これから目の離せないプロパイダ事業の中心にいることは間違いなさそうです。
 月額1万円ぐらいで専用線が引けないかなぁ。うちはISDNだから、xDSL回線が認可されても利用できなさそうだし。うう、PSINetガンバレ(笑)

 複数OSの混在

 皆さん、マルチOS環境でPCを運用していますか?
 仕事をするときはNTで、ゲームをするときは95/98で。趣味でLinuxなんかも同じマシンに入れちゃったりして。そんな使い方をしたことはありませんか?
 起動時にOSを選択して...なんていうブートマネージャも市販品まであって、なかなか面白い世界だと思います。でもこれ、1台のPCですから、同時に稼働できるOSは1つなんですよね。
 先日コンパックから発表されたGalaxy(開発コード名)という技術は、99年に出荷するOpenVMSでDIGITAL UNIXとWINDOWS NTを同時に稼働させることのできる代物です。
 これは、1台のサーバー機を複数のパーティションに分割し、そのパーティション毎に異なるOSを動かす機能を実現するものです。パーティションといってもハードディスクなどの区画を言うのではなく、メモリやプロセサまでも含めて、論理的に1台のPCを分割するのです。
 これによって、今まで複数台必要だったサーバーを集約できるため、さまざまなメリットが生まれると同社は言っております。
 なんて書くとものすごい技術のようにも感じますが、HOSTとかメインフレームと呼ばれるような汎用機クラスでは当たり前のように装備されている機能で、どちらかというと「まだ出来てなかったの?」という感じがするのは千歳だけでしょうか。汎用機では、区画を2ないし3つに分け、1つをメインに使用し、一つがホットスタンバイを兼ねたテスト機、そんな感じで使うことが多いのでしょうか。もちろん、稼働中にCPUを止めたり、片一方のOSだけリセットかけたりも可能です。面白いですよね。
 PCはいったいどの領域にまで踏み込んでいけるのでしょうね。

 松下電器関連2点

 試作品で、DVD-Audioプレイヤーがエレクトロニクスシューに出品されていたようです。サンプリングは、実に192kHz、24Bitと現行のCDのクオリティの数倍。44kHz×16Bitでは、毎秒172kBというレートが必要ですが、このDVD-Audioの場合無圧縮であれば、毎秒1MBものレートが必要になります。
 44kHzで20~2万Hzという可聴域をカバーすることを考えると、196kHzでは20~10万Hzあたりまでという勘定でしょうか。これだと、アナログレコードのような澄んだ高音域が体で感じられるかもしれませんね。
 ただ、DVD-Audioの規格そのものはまだ策定中であり、つい最近になってから、大分まとまり始めたというような印象を受けます。これからの主力になるでしょう規格ですから、じっくりと決めてほしいものです。
 ちなみに、ロスレス符号化や、ダウンミックス機能(ドルビーデジタルの5.1chの音声を2chに変換する機能)など決まったのはつい最近です。ここにきて、規格が2転3転しないことを祈るばかりです。

 それともう一点は、200万画素のCCDです。年内には各社から一斉に出荷されるかと思われていた普及価格帯200万画素クラスのデジカメは、ついに姿を見せませんでした。CCDの遅れと、画素数よりも画質や使い勝手でバリエーションを増やす傾向が見られたようです。たしかに、150万画素もあれば、現在のデスクトップではおいそれと表示できないレベルの大きさのファイルです。それよりも、絞りやシャッター速度をいじれたりするマニュアル志向派や、フルオートでもかなりの画質が得られるビギナー向けなど、そういった製品展開が主力だったようです。そういえば、ズームは当然、連写が可能な機種も増えましたね。
 しかし、これらのデジカメで撮影した画像をA4用紙いっぱいに引き伸ばして印刷してみると、まだまだドットの粗さが目立ちます。プロではないけれども、写真を趣味とする人に耐えられるクラスとなると、はやり200万画素クラスは必須ではないでしょうか。プロ器材の安いもので300万画素ぐらいですから、ほぼ十分と思います。
 今回の新しいCCDは216万画素。サイズにして1800×1200ということで、普通のディスプレイじゃ本当に表示できなくなりそうですね。

 本日のキーワード 「アルプス電気、溶解型熱転写式プリンタにもフォト色を採用」


10月12日
きれいな秋晴れです

 カノープスへ行ってきました

 USB接続のデジタルオーディオインターフェースユニット「DA-Port USB」の説明会があったので、大手町にあるカノープス東京営業所のほうへお邪魔してきました。
 日本有数のサードパーティの一つですから、さぞかし絢爛なところかと思いきや、普通の雑居ビルの1フロア。神戸のほうにある本社は結構大きいのですが、やはり営業所なんてこのようなものでしょうね(失礼!)
 でも、きれいで清潔な感じのするプレゼン用の部屋には、必要な器材がセットされており、特に今回はオーディオ関係ということもあり、中央脇に鎮座するアンプに少し心が惹かれました。(SONY製のものでした。型番は失念!)

 なにができるの

 DA-Portは、今までPCで扱いにくかった光デジタル信号の入出力を扱う外づけユニットです。同種のものにローランド製のUA100というものがありますが、これはどちらかというとアナログデバイスとの親和性が強調されており(入出力用D/Aを内蔵している)、値段も4万9800円と少々割高です。MIDIインターフェース内臓でエフェクタも装備していることを考えれば決して高くはないと思うのですが、やはり手が出ないことにかわりはありません。
 カノープスのDA-portは定価で2万6800円。実売で2万円を少し越えるあたりでしょうか。いままでの光デジタルアイテムがないことを考えると、かなりイイ線をせめるのではないでしょうか。
 ちなみに、DA-Portにも出力用D/Aコンバータは入っていますが、Phone用の小さなもので、実際の使用に耐えるかは疑問です。

 聞いてみよう

 従来のサウンドカードでは、デジタル出力は存在しても、入力をサポートするものは皆無でした。著作権などの絡みもあって簡単ではないのでしょうが、今までは、MDなどからWAVEファイルなどに落とす場合、必ずアナログデバイスを通過するためノイズを完全に消し去ることができませんでした。
 また、再生のときもノイズの多いPC内部にあるサウンドカードがD/A変換をすることによって、ますます波形を歪ませてしまいます。
 このDA-Portならば、PCMなどのデータを、デジタルのままUSB経由で外部のD/Aコンバータを内蔵したアンプやCDプレイヤーにつなぐことができ、安っぽいPCの音とは次元の違う領域を楽しませてくれます。小さなアンプ内臓のアクティプスピーカーではあまり差を感じないのかも知れませんが、しっかりとしたアンプとそれに見合うスピーカーで聞いた場合、その差は歴然としています。ビックリするぐらいのクリアな音質に、PCから発生する音というのを疑ってしまいたくなるほどです。比較的いい音を出すというウリエイティブ製サウンドブラスタAWE64あたりと比べても、はっきりとした違いを感じられるのが楽しいです。
 MIDIにはヤマハの新ソフトウェアシンセサイザ「S-YXG100」を用いることでなかなかすばらしい音を楽しませてくれます。外づけのMIDI機器では光デジタル出力を持つものはないでしょうから、ハードウェアMIDIをデジタルで扱いたい場合は前述のUA100を用いる必要がありますね。

 製品紹介

 大きさは非常にコンパクトで、4ポートぐらいのコンパクトHUBぐらいといえば分かっていただけるでしょうか。重さも120gと計量です。
 インターフェースは光角型ジャック(EIAJ CP-1201)で入力、出力共に2系統ずつ。CDプレイヤーや、MDデッキからの入力、アンプ、MDデッキへの出力などと考えて使えるわけですね。PCとの接続はUSB(シリーズB)で、DA-Portの電源供給もUSBを通じて行われます。別途でACアダプタなどがいらないのが便利ですね。これ以外にもモニタ用のヘッドフォン端子と、それのボリュームが付いています。ほぼ完璧な「光デジタル切替機」なわけです。
 付属するツールもなかなか優秀です。
 DA-Portならではのフルデジタル録音なども可能です。無圧縮Waveは当然としても、すばらしいのがリアルタイムMP3エンコーディングが可能(CPU速度に依存)な事でしょう。MP3への変換は時間がかかるもの、という常識を見事にくつがえしてくれています。もちろん非可逆な圧縮ですから、音質を犠牲にすれば高速な変換は可能なのですが、それではデジタルでやり取りしている意味がありません。独自ドライバで定評のあるカノープスです。MP3に関するドライバも自社開発し、高速性、高音質を両立しているすばらしいものにできあがっています。これだけでも買う価値があると思っている方も多いのではないでしょうか。
 また、MP3だけではなく、MP1/MP2への録音や、MP1←→MP2←→MP3への変換なども行える優れものです。CPUの速度の遅いマシンでは、いったん負荷の少ないMP2で録音しておき、あとからMP3へと変換するという方法もあります。
128kbpsのMP3の場合、ペンティアム2-266MHzクラスのCPUパワーがあれば大丈夫ということで、最近のマシンではほぼ大丈夫でしょうね。(以外とクラシック133あたりが頑張っているって? いえいえ、ここら辺の周辺機器を買う人は、きっとK6-2の300MHzも一緒に買っちゃいますよ、きっと)

 本日のキーワード 「ドリームキャストを予約して、湯川専務携帯ストラップを貰おう!」
 


10月11日
秋晴れが続いています

 Wrold PC Expo98へ行ってきました。

 会社を辞めたりで、いろいろと忙しく更新を半月程休んでいました。楽しみに巡回されている皆様申し訳ありませんでした。今日から、少しずつでも復活していきたいと思います。
 もう、先週の話になってしまうのですが、幕張メッセで行われていたWorld PC Expoというイベントに行ってきました。9/30~10/3の4日間の開催で、入場者数は33万5千人という凄まじいものでした。前半2日間は小雨模様ということもあり、実際の入場者の大半が金曜土曜の後半二日に集中したのではないかと思われます。
 私も参加したのは最終日の10/3だったのですが、それはもう、芋を洗う混雑でした。しかし、混んでいるホールと、そうでない場所が明確で、色々と考えさせられるポイントもあったかと思います。
 ホールそのものは1~11までの全館です。出展社は微増ながらも、ブースの大きさは現象傾向にあり、企業の広告、販売促進費用の削減によるものではないかと噂されています。実際に見回っても、あまり巨大なブースなどはありませんでした。天下のマイクロソフトも若干おとなしめだったように思います。
 展示系のブースでは、これと言って目新しいものがあったわけでもなく、従来製品の展示が殆どでした。ただし、プレゼントや紙袋の質は、バブル崩壊後の頃に比べると格段に向上しており、クリエイティブなどでは、サウンドブラスターLive、Monster3D2などを1時間に一回のプレゼンテーションの度に配るなど、なかなか大盤振る舞いでした。マウンテンバイクを抽選しているところなどもあり、そういった意味での景気は回復しているのでしょうか? コンパニオンの女性も華やかな感じの方が多かったように思います。
 販売系のブースでは、恐ろしいほどの人が蠢いておりました。最終日のスタート直後にはIntel セレロン300AMHzが97円で発売されたりと、すごい出物があったのです。他にも新ビデオカードVooDooバンジーが一斉に売り出されたりと見ているぶんには楽しいものでした。
 ただし、肝心の価格は秋葉原価格と比較してもそれほど「安い」というほどのものでもなく、Expoの終了まぎわになっても殆ど投げ売りが発生しなかったのが残念です。(最終日は、税込み扱いになったので、5%割引という程度でした)
 千歳は、コジマ電気の1000円均一ソフト、携帯エディのソフト2本と、レーザーポインタ(何故)を買って帰りました。

 プロパイダ再編も佳境

 先日リムネットを買収したPSINetですが、今度はさらに大物を買収したようです。それはなんと東京インターネット。日本プロパイダ事業の黎明期から存在する老舗で、IIJなどと同様に海外へ接続される幹線を持つ1次プロパイダです。回線はMCIに45Mbps、KDDインターネットに45Mbpsと合計90Mbpsの帯域をもっており、PSINetはこれに目をつけたものと思われます。
 東京インターネットのユーザー数は、法人6000社、個人10000人ほどで、プロパイダとしてはそれほど大規模というわけではありませんが、前述したとおり、1次プロパイダである東京インターネットは、海外との接点を持ちます。当WebページのあるInfoGLOBEというプロパイダも、以前は東京インターネットに接続されていました(最近はIIJ直結)。ここから更にパケットが流されていくというわけです。ですから、知らず知らずのうちに東京インターネットを利用していたユーザーは多いのかもしれません。
 ちなみに、東京インターネットの株主にはセコムとかがいたようですね。

 4時間対応

 ネットワークアソシエイツという会社をご存じでしょうか。シマンテックやマイクロトレンドと同様にウィルス駆除を目的としたソフトをリリースするベンダです。「VirusScan」という名前は知ってらっしゃるかもしれませんね。個人向けより企業ユーザーさんのほうがご存じかもしれません。
 このネットワークアソシエイツが新しく始めたサービスが「未知のウィルスを発見したあと、わずか4時間のうちに対処する」というもの。以前からシマンテックが同様なサービスを開始していましたが、これは、ユーザーのメール到着後24時間以内に返信し、48時間以内に対策用ファイルを提供するというもので、今回の4時間という時間には到底かなうものではありません。
 ネットワークアソシエイツでは24時間体制でウィルス解析を行っているため、4時間での返信は不可能ではないとしています。また、解析に時間がかかるものの場合でも、4時間以内に必ず返信し、ユーザーに情報をフィードバックしていうという親切さ。
 しかし、ここまでクリティカルなウィルス騒ぎってあるんでしょうか。なんだか、無駄にパワーを割いているような気がするのですが。

 本日のキーワード「マイクロン、本体色やバンドルソフトも選べるサービスを開始」


当ページは「千歳忍」の独り言です。
極力真実に基づいて記述するようにしていますが、当方の思い違いや表記の方法によって一般的な解釈と異なる場合が有ります。意見や訂正の要請は大歓迎です。また、書いてほしいネタも募集しています。その場合はこちらまでどうぞ。

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